【レポート】第30回「The Decipher」

第30回「The Decipher」を開催しました。

【議題】
・国連80年に関する英文記事の検討
・特別企画: アフリカの経済衰退に関する論文紹介
・情報の組み合わせと見立て

英文記事の検討

今回の主な記事(元国連事務総長と元国連開発計画総裁の寄稿)。

特別企画: アフリカの経済衰退に関する論文紹介

参加者のピックアップ。

Elsa Artadi and Xavier Sala-i-Martin. The Economic Tragedy of the XXth century: Growth in Africa. July 2003. National Bureau of Economic Research.

著者は、1960年代〜2000年初頭における投資額や就学率、寿命などをサハラ以南のアフリカ諸国とOECD、東アジア諸国で比較し、国際開発はアフリカの経済をほとんど発展させなかったと指摘。

情報の組み合わせと見立て

  • 今回の寄稿で元国連事務総長と元国連開発計画総裁は国連が達成したこと(5歳未満の死亡数の低下、貧困撲滅と気候変動から地球を守ることを目指したSDGs)を擁護していますが、上記の論文とつきあわせると、著者には他の意図があるように思われます。
  • The Economistを含めて世論は、国連の安全保障理事会の機能不全や財政難を批判し、それらがあたかも危機であるかのように騒いでいます。でも、この問題は新しくありません(文末の参考文献を参照)。
  • これらを踏まえると、グローバルエリートは「プロブレム・リアクション・ソリューション(Problem-Reaction-Solution)」で世論をコントロールしていると考えることもできそう。実際、国連は次のステージに進んでいるようです(以下参照)。
プロブレム・リアクション・ソリューション

問題(危機)の演出世間を不安や恐怖、怒りに駆り立てる解決策を提示し、抵抗なく受け入れてもらうという弁証法的なテクニック。

<プロブレム>国連は機能不全で危機的な状況

<リアクション>戦争や貧困の拡大という恐怖(世界の安全と平和のために改善を!)

<ソリューション>国連改革はやむなし

(例: 国連とダボス会議のコラボ国連人口基金など一部機能のアフリカ移転

【参考文献】

  • 馬渕睦夫・加瀬英明「グローバリズムを超えて自立する日本」(2019)勉誠出版